関根愛『憶えている人 vol.1』(関根愛)
憶病であるということは、
たくさん憶えているということだ
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あれはどうしてそうだったろう
あの人にとって、人生は何だろう
夜になると光る星とおなじに
暗いときに光るものが人生にある
小さくて、こたえのない
とるにたらないことにほど宿るその光を
いつまでも憶えている
葬儀の配膳、牛乳屋の営業、じいさんの家の掃除人と話し相手、都心のタワマン受付、幼い三兄弟のシッター..etc
『憶えている人』は、俳優時代の10年間を中心に経験した33のアルバイトから印象的だったものと、そこで出会った人たちとの"一瞬"をとらえたエッセイ集。
人生を変えるような出会いより、とるに足らないかもしれないささいな出会いのほうを、いつまでも憶えている。
何も引かないし足さない、何も変えない、あるだけそのままの出会いだからこそ、消えないで胸のうちに生きている。
これを書きながら、自分を道の草花のように思った。
もう会うことはない人たちのところへ、会いに出かけることはできないが、ここから小さな花束を贈ることはできる。
(関根愛ウェブサイトより)